70代の父と、40代の私。
お金の話、特に「相続」なんて、ずっと先のことだと思っていました。
父は70年、私は40年。
投資どころか、銀行の利子にすら無関心で生きてきた親子です。
知識がないから、切り出しにくかった「お金の話」。
給与明細の税金欄を見ても、
「よくわからないけど、今は困っていないし」と、
長いあいだ見て見ぬふりをしてきました。
そんな私が、ふとしたきっかけでFP3級の勉強を始めました。
すると、数字が少しずつ「言葉」として読めるようになってきた感覚がありました。
「知らないこと」への抵抗感が薄れると、
あんなに重たかった相続の話も、
少しだけ身近なものに変わっていきました。
相続の話ができない理由は「知識不足」
相続の話を避けてきた一番の理由は、
気まずさよりも、「自分が何も知らない」ことでした。
知らないまま話すと、
否定されたり、論破されたりする気がして、
最初から話題にしないほうが楽だったのです。
FP3級の勉強を通して、
制度や言葉を最低限理解できるようになったことで、
ようやく「会話として成立する準備」が整いました。
親にどう切り出したか|正論より「相談」
相続の話は、いきなり本題から入りませんでした。
「最近、FPの勉強をしていてね」
「相続のところが難しくて、ちょっと聞いてもいい?」
そんなふうに、
教える立場ではなく、教えてもらう立場 で切り出しました。
「こうしたほうがいい」ではなく、
「どう考えてる?」と聞く。
正論をぶつけるよりも、
父の考えを一度、言葉にしてもらうことを意識しました。
結果的にそれが、
お互いに冷静に話せる空気をつくってくれたように思います。
公正証書の作成という、ひとつの区切り
父との対話を重ねた結果、
相続対策として、公正証書を作成することになりました。
「親が間違っている」「私が正しい」
そんな白黒をつけるためではありません。
お互いが安心して過ごすために、
今できることを、静かに整えた。
それに近い感覚です。
親と子では、お金のフェーズが違う
父はいま、お金を「守り、使う」フェーズ。
私は「増やす」ことも必要な世代。
このフェーズの違いを認められたことが、
話し合いのスタートラインだったのかもしれません。
FP資格がもたらした、親子関係の小さな変化
もともと父は、
「自分が正解」と思い込むタイプで、
少し教えたがりな一面がありました。
それが、私がFP3級に合格した頃から、
今度は父のほうが、私に質問をしてくるようになったのです。
知識は、信頼関係を結び直す道具になる
正しい知識を持つことは、
相手を言い負かすための武器ではなく、
親子の信頼関係を、穏やかに結び直す
きっかけにもなるのだと感じました。
押しつけない、でも備えておくという選択
父を無理に変えようとは思っていません。
ただ、私自身が金融リテラシーを高めておくことは、
家族を守るための、静かな備えになります。
知識は、未来の安心を買うための投資。
そんな言い方もできるのかもしれません。
まずは自分から。
その小さな変化が、
ゆっくりと父や家族にも伝わっていけばいいな、と思っています。



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