「親の経済状況が気になるけど、どう切り出したらいいんだろう」
「もし介護が必要になったら、費用はどうなる?」
「自分の老後資金もまだ十分じゃないのに…」
そんな不安を感じながらも、親と“お金の話”をきちんとしたことがない方は多いのではないでしょうか。
まだ元気なのに、嫌がられない?心配しすぎてプライドを傷つけたりしない?
そう思っているうちに、時間だけが過ぎていきます。
40代という「自分の老後」と「親の介護・相続」が同時に現実味を帯びてくる世代。
正直、私もつい最近まで、親の家計のことは“聴いちゃいけないもの”として遠巻きにしてきた側です。
この記事では、私が実家で交わしたある日の会話と、そこから見えてきた「老後のお金の話の始め方」をお届けします。
この記事でわかること
- 老後にかかるお金のざっくりした目安
- 親の不安と子の不安、それぞれの中身
- 老後のお金の話は、数字より先に「生き方」を聴くことから始まるということ
老後にかかるお金の目安
まずは前提になる数字を、さらっとだけ。
「知っておく」くらいの温度感で大丈夫です。
年金の平均受給額
日本年金機構の資料によると、会社員(厚生年金)の平均受給額は月およそ14〜15万円前後。
国民年金のみの場合は、月およそ5〜6万円前後とされています(加入状況によって差があります)。
「思っていたより少ないかも」と感じる方もいれば、「意外ともらえるんだ」と思う方もいるはず。
自分の親がどちらのパターンか、ざっくりでも把握しておくと心構えが違ってきます。
老後の生活費の目安
総務省の家計調査では、高齢夫婦無職世帯の平均支出は月およそ25万円。
年金だけでは少し足りないケースがあり、貯蓄や退職金でどう補うかが現実的な論点になります。
介護にかかる費用
生命保険文化センターの調査によると、介護にかかる費用は月およそ8万円、期間はおよそ5年前後。
決して軽い金額ではないけれど、介護保険の利用で自己負担が変わる部分でもあります。
数字はあくまで全体の目安です。
ここに親一人ひとりの暮らしが重なると考えると、「自分の親はどんな老後を望んでいるんだろう」という問いに、自然につながっていきます。
親と子、それぞれの不安
老後のお金の不安には、はっきりとした輪郭がなく、
私の父や母にも、「使いたい」「安心したい」「でも、どうしたらいいかわからない」
——そんな気配がつきまとっているようにみえます。
親だけじゃありません。
子どもの側も、親を想えばこそ、不安に感じている人も多いのではないでしょうか。
親の不安
- 年金だけで暮らしていけるのか
- 医療費がこれから増えていったらどうするか
- 介護が必要になったとき、子どもに迷惑をかけないか
子の不安
- 親に支援が必要になったとき、自分が対応できるのか
- 実家はどうするのか(住み続ける?手放す?)
- 相続で兄弟と揉めないか
わが家で起きた、ある日の会話
ここで、私と父の話を少し。
社会人になってから、父と交わしたお金の話といえば、「お給料」について。
でも、「家計」や「貯蓄」の話をしたかどうかは、あまり記憶にありません。
理由はシンプルで、知らなそうだし、やってなさそう(自分もわからない)という思い込みです。
ある日、意を決して、「この家、どうするの?」と父に尋ねました。
”この家”とは実家のことで、私は父の反応をうかがいました。
父は、一瞬「お、来たか」という顔をしたあと、
「そうだなあ」「考えないといけないよなあ」と、思考を巡らせているようでした。
驚いたのは、その後、しばらく経ってから。
父は、実家にあるお金まわりの書類をまとめ、説明してくれました。
それだけでなく、保険証券の内容をExcelに書き出し、いつでも引き継げるように、まとめていたのです。
私が勇気を出して発した言葉が、「話してもいいんだ」という空気をつくり、
父の行動を促したことが、驚いたし、嬉しかったです。
そして、さらに数カ月経ったある日、父がぽつりとこう言いました。
元気なうちに上手に使えたらいいなとは思ってるんだけどね
これが、一番聴きたかった本音だと思いました。
「どう使っていいかわからない」という迷いは、
父が、「どう生きたいか」を考え、悩んでいる証拠です。
お金に関して知っていることや、できていることが少ないのは否めないけど、
「きっと関心がない」と決めつけていたかも知れないと、少し反省しました。
老後のお金についてのQ&A
Q. 親にお金の話を切り出すタイミングは?
わが家では、ふと「実家、どうするの?」と聴いてみたのが始まりでした。
振り返ると、相続や年金のニュースを一緒に見ていたり、帰省で同じ食卓を囲んでいたり——そんな「なんでもない時間」が、いちばん切り出しやすかった気がします。
構えて「さあ、話そう」と言うより、流れのなかでそっと触れるほうが、お互いふっと肩の力が抜けるのかもしれません。
Q. 親が嫌がったらどうすればいい?
子どもの側からも、親の収入や貯蓄を口にすることが、”管理”や”干渉”の印象として伝わってしまうのは避けたいところ。
これまで頑張って生活してきた人生が尊重されるような、そんな話し合いにしたいものです。
だから無理に深追いせず、「いつでも話せるからね」と種だけ置いて、一度引く。
しばらく経つと、向こうからぽろっと触れてくれることもあります。
Q. 何から聴けばいい?
私がこれから聴いてみたいと思っているのは、父と母の「願い」です。
- 元気なうちにやりたいこと
- 望んでいる暮らし
- 不安を感じずに過ごすために必要なこと
金額から始めると数字に飲まれてしまうけれど、「気になること」「したいこと」の輪郭がはっきりしてくると、必要な数字は後から自然と立ち上がってきます。
そのとき、「数字」はきっと「安心」に変わります。
Q. 相続で揉めないためには?
正解を一気に決め切ることよりも、家族のなかに「話せる空気」を少しずつ育てていくことのほうが大事な気がしています。
「親がこう言っていた」「あのとき父は笑ってこう話してた」——そんな小さな記憶の共有が、将来いちばんの手がかりになってくれる気がします。
まとめ
父が言っていた『元気なうちに上手に使えたらいいな』という言葉。
そのまま自分にも当てはまるなあ、と感じています。
資産は、「守るだけのもの」ではなく、暮らしの選択肢を増やすための道具。
FP3級(2025年12月取得)で年金や社会保障の数字はひと通り触ってきたけれど、父のひと言のほうが、ずっと遠くまで連れていってくれる気がしました。
もしあなたが、親との”お金の話”が難しいと感じているなら、
まずは「生き方」を聴くところからスタートしてみてください。
きっと、思っているより静かに、大事な会話が始まります。



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