会社員が初めて確定申告をした話|「自分には関係ない」と思っていた私が必要になった理由

書類を手にノートパソコンの画面を見る人物 資産形成・お金の勉強

「確定申告」と聞いて、自分に関係のある話だと思ったことがありますか。

私はありませんでした。
自営業の人やフリーランスの人がやるもので、会社員には関係ない。20年以上、そう思って生きてきました。

会社から配られる年末調整の紙に、言われるまま名前と数字を書いて提出する。
生命保険料控除の欄も、何のために書いているのかよくわからないまま埋めていました。

でも、2026年の2月、私は初めて確定申告をすることになりました。
e-Taxなら税務署に行く必要がないと聞いたので、自宅のパソコンで手続きしました。

この記事では、なぜ会社員は普段確定申告をしなくていいのか。
どんなときに必要になるのか。
そして実際にやってみて、何がわかったのか。
体験そのままにお話しします。

この記事でわかること

  • 会社員が確定申告をしなくていいのは、年末調整が代わりに手続きをしてくれているから
  • 年末調整では処理できない収入や控除が出てきた年は、自分で申告することになる
  • 申告すれば必ず還付されるわけではない。

「確定申告は自分には関係ない」と思っていた

私は40代の会社員です。
新卒で就職してから20年以上、毎年やってきたのは年末調整だけでした。

秋になると紙が配られて、保険会社から届いたハガキを見ながら数字を書き写す。
12月の給与明細で、なんだか少し多く振り込まれている。
「あ、戻ってきたんだな」と思って、それで終わり。

2〜3年だけ、経理部の手伝いで社員から提出された書類をチェックしたことがありますが、
それでも、なぜ戻ってきたのかよくわかっていませんでした。

なぜ会社員は確定申告をしなくていいのか

「え、そんなこと考えて何の意味があるの?」
という声が聞こえてきそう……。
(1年前の私がそうでした)

会社は毎月の給与から、所得税を天引きしています。これが源泉徴収です。
ただしこの天引き額は、あくまで「だいたいこれくらいだろう」という見込みの金額です。

実際の税額は、1年が終わってみないと確定しません。
保険料をいくら払ったか、扶養している家族がいるかどうかで変わってくるからです。

そのズレを年末に精算してくれるのが、年末調整です。

「私の代わりに会社が確定申告してくれているから大丈夫」
そう思っている会社員の方は多いですよね。

実は世界を見渡すと、その恩恵に預かれる国ばかりではないと聞いたことがあります。
たとえばアメリカでは、源泉徴収はあっても年末調整にあたる制度がないそうです。
会社員でも、自分で確定申告をするのが基本なのだとか。

約20年、ぼんやりと「当たり前」に慣れきって生きてきましたが、
「自分でしなくていい」ってそういうことだったのかと、ようやく腑に落ちた気分です。

そしてもうひとつ大事なのは、「しなくていい」であって「してはいけない」ではないということです。

私が確定申告をすることになった3つの理由

では、なぜ私は申告することになったのか。
理由は3つ重なっていました。

保険を解約したら「一時所得」が生まれた

きっかけは、死亡保障のついた変額保険を解約したことでした。

もし自分に何かあったら家族はどうなるんだろう、と気になって、遺族年金がいくら出るのかを調べてみたんです。
そうしたら、思っていたより支えがあることがわかりました。

すでに蓄えもある。
それなら、この保険で守り続ける必要はもうないのかもしれない。

そう考えて、解約を検討し始めたのですが、ここで思わぬものが出てきます。

解約すると戻ってくるお金から、それまでに払った保険料と特別控除50万円を引く。
すると、残りが117,986円ありました。
このうち半分の58,993円が、税金の対象になるというのです。

これが「一時所得」でした。
保険を解約するだけなのに所得が生まれる、という発想が、私にはまったくありませんでした。

それでも、蓄えと遺族年金を考えれば、もう保険に頼る必要はない。
確定申告が必要になることも含めて納得したうえで、解約を決めました。

証券口座が「源泉徴収なし」だった

2つめは、証券口座の設定です。

投資に使う特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」があります。
「あり」にしておくと、利益が出たときに証券会社が税金を天引きして、そこで完結してくれます。

私はあえて「なし」にしていました。
「給与以外の所得が20万円以下なら税金がかからない」というルール。
これをそのまま当てはめられると、思い込んでいたからです。

でもこれは勘違いでした。
その年の株式の譲渡益は34,926円
金額としては小さいのですが、「源泉徴収なし」の口座では、金額の大小に関係なく自分で申告する必要があるんです。

この反省を活かして、2026年からは証券口座を「源泉徴収あり」に変更しました。
これで、少なくとも「申告しなければいけないのに気づいていなかった」という事態は防げます。

米国株の配当が二重課税されていた

3つめは、米国株の配当です。

実は2025年は、私にとって個別株を買い始めた最初の年でした。
それまでは投資信託の積み立てだけ。
「配当金」を自分の口座で受け取ること自体が、初めての経験だったんです。

その配当に、思わぬ落とし穴がありました。

米国株の配当金は、まずアメリカで税金が引かれます。
そのうえで、日本でも課税されます。
同じお金に、2つの国が税金をかけている状態です。

私の場合、配当が年間で16,532円
そのうちアメリカで引かれた税金が1,339円でした。

この二重取りを調整してくれるのが「外国税額控除」という仕組みです。
ただしこれは、自分で申告しないと戻ってきません

やってみてわかった、年末調整では処理できないこと

3つの理由を並べてみて、共通点に気づきました。

年末調整は、あくまで「給与」に関する精算しかしてくれないんです。

だから、次のようなものは年末調整の枠の外にあります。

  • 保険の解約で生まれた一時所得
  • 「源泉徴収なし」口座の株の利益や配当
  • 外国で引かれた税金(外国税額控除)
  • ふるさと納税を確定申告で処理する場合の寄附金控除

逆にいえば、これらがひとつもない年は、本当にしなくていいということです。

「会社員は確定申告しなくていい」という言葉だけを覚えていると、自分が該当する年が来たときに気づけません。
私はここを知らないまま、あやうく見過ごすところでした。

結果は、所得税も住民税も「追納」だった

申告したのは2026年3月8日。令和7年分の申告所得税です。

結果を先にお伝えすると、所得税も住民税も、還付ではなく追納でした。
損か得かでいえば、どちらも「払う側」だったということです。

所得税は、追納になった

――年末調整でお金が戻っていても、確定申告をしたら、さらに「還付」があるらしい。

そのようなイメージだけが勝手に先行していたので、
いざ「追納」の2文字を見たときの正直な気持ちは、ガッカリ!

そもそもe-Taxが「はじめまして」だったし、
一時所得で所得が大きくなる分を抑えるために、
配当を総合課税にするか申告分離課税にするかの選択を間違わないようにとか、
外国税額控除の入力の仕方とか、めちゃくちゃ勉強したのに!
(でも間違ったことはしていないので、愚痴はここまでにしておきます)

住民税も、実は追納だった

給与から天引きされる住民税は、ふるさと納税のおかげでむしろ下がりました。

でも、一時所得や株の利益にかかる住民税は、給与とは別に、
自分で納める分として、あとから自宅に届きました。

つまり、こちらも実質的には「追加で払う」形だったんです。
(住民税がどう2つに分かれるのかは、別の記事で詳しくお話ししています)

ふるさと納税は、住民税で返ってくる

ここでひとつ、勘違いに気づきました。

ふるさと納税の効果は、所得税の還付として戻ってくるわけではないんです。
主に翌年6月からの住民税が安くなるという形で返ってきます。

実際、翌年に届いた市県民税の通知書を見てみると。
ふるさと納税の控除として58,700円が、しっかり反映されていました。

つまり、戻ってこなかったのではありません。
戻ってくる場所とタイミングが違っただけでした。

ここは、私と同じように勘違いしている人が多いのではないかと思います。

一番の収穫は、税金の項目が読めるようになったこと

申告をする前、源泉徴収票も住民税の通知書も、私にとっては「数字が並んだ紙」でしかありませんでした。
どこを見ればいいのかも、その数字が何を意味するのかもわからない。

でも今は違います。

給与所得控除があって、そこから所得控除を引いて、残った課税所得に税率をかける。
そのあとで税額控除を引く。
この流れが、自分の数字として見えるようになりました。

住民税は前年の所得で決まって、翌年の6月から天引きが始まる。
この時間差も、追納と住民税の通知書を並べて初めて実感できたことです。

FP3級の勉強で覚えた言葉が、ここでようやく自分の生活とつながりました。
テキストの中の用語だったものが、自分の手取りを決めている数字になった感じです。

よくある質問

会社員が確定申告をしなくていいのは、なぜですか

会社が毎月の給与から所得税を天引きし、年末調整でその過不足を精算してくれているからです。
会社員は、確定申告にあたる手続きを会社が代行してくれている状態、と考えるとわかりやすいと思います。

どんなときに確定申告が必要になりますか

年末調整は「給与」に関する精算しかしてくれません。
私の場合は、保険の解約で生まれた一時所得、「源泉徴収なし」口座の株の利益、
外国株の配当という3つが重なりました。
逆にこうしたものがない年は、本当にしなくて大丈夫です。

確定申告をすると、必ず税金が戻ってきますか

いいえ。私は所得税も住民税も追納でした。
申告によって所得が増えれば、納める側になることもあります。
またふるさと納税のように、所得税の還付ではなく翌年の住民税が安くなる形で返ってくるものもあります。

まとめ

会社員が確定申告をしなくていいのは、年末調整が代わりにやってくれているからでした。

でも、年末調整の枠の外にある収入や控除が出てきた年は、自分で申告することになります。
保険を解約した年、証券口座が「源泉徴収なし」だった年、外国株の配当を受け取った年。
そういう年は、ある日突然やってきます。

やってみると大変でした。
書類は見つからないし、画面の意味はわからないし、結果は追納だったし。

それでも、税金の項目が読めるようになったことが、私にとっては一番の収穫でした。
毎年見ていたはずの紙が、意味のある情報に変わったんです。

もし今、少しでも気になったなら。
まずは自分の証券口座が「源泉徴収あり」か「なし」かを確認してみてください。

そこが入口になると思います。

※税制は改正されます。この記事は私個人の体験をまとめたものです。
実際の判断は、国税庁のサイトや最寄りの税務署でご確認ください。


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